君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第50章 50
「怖がらせてごめんね。でも俺、の事そんな些細なことで嫌えるほど生半可に愛してないよ。時々狂いそうになるくらい、が大切で、好きすぎて、愛しくて、大事。どうやったら全部伝えられるかいつも考えちゃうくらい、が好き」
涙をぬぐう龍之介に、は更に涙を溢しながら小さく何度も頷く。
「こんな泣くつもりなかったのに…」
「は時々強がるから。俺の前でくらい泣いていいよ。全部拭ってあげる。全部吸い取ってあげる」
「余計泣かせないで…好き…龍くん、大好き」
ソファに膝立ちになり、龍之介の首に腕を回して抱き着く。
いつもより数段弱弱しいを抱きしめ、龍之介はそっと頭を撫でるのであった。
「、落ち着いた?」
「ん…。目、ぱんぱんで見せたくない」
あれから十数分。
くすんくすんと言った泣き声が落ち着いた頃、龍之介が声をかけるが、きゅう、と抱き着いたまま首を振る。
「瞼腫れ上がっても可愛いからこっち向いて」
「やーあー」
「もー。、ほら、氷溶けちゃうよ。飲みながら晩ご飯決めよ?」
「んー…」
背中をぽふぽふと撫でられ、観念したのかようやく離れる。
目が腫れてると言ってはいたが、少々赤くなっているくらいで普段の可愛いままだ。
「そんな腫れてないよ。可愛い」
「良かった」
「ほら、水分補給して」
「はぁい」
コーヒーは水分補給にはならないが、の気持ちを落ち着けるには最適な飲み物である。
「何食べたい?」
「お肉」
「ステーキとか?」
「給料日前なのでもうちょいリーズナブルなものでおなしゃす…」
給料は月給プラス出来高制なのでそれなりの稼ぎは出てきたのだが、結婚費用と一人暮らし費用を最近貯め始めているらしい。
の給料が安定してからはデート代は割り勘の為互いの金銭事情はしっかりと伝えあっている。
「牛豚鶏、どれがいい?」
「うーん…ぶた」
「うん、じゃあ見繕ってみようか」
「ん。あ、今ちょっと電話していい?」
「うん、いいよ。寝室行く?」
「ここで大丈夫」
ならば、と龍之介は頷き、は電話をかけ始めたのであった。