君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第49章 49
「新作ってこれ?」
看板を指さし龍之介に、は後部座席から少しばかり身を乗り出しながら頷く。
「うん。美味しそうっ」
「俺何しよ…こっちは?」
「そっちも新作で気になるけど、今度にする」
「じゃあ俺これにするから、半分こしよ?」
「いいの?」
「うん」
俺も気になるし、と頷く龍之介には嬉しそうに笑い、後部座席から再度軽く身を乗り出して龍之介の頬に口付けた。
「嬉しいっ、ありがとう」
「どういたしまして。」
「ん?」
「ここでそんな可愛い事しちゃダメ。すぐに抱き締められないから」
「はわ…」
の唇に人差し指を立てれば、ピクリとしながら照れ照れと頬を染める。
そんなにくすくす笑っていれば、マイクの向こうから注文を聞かれる。
無事注文し車を受け取り口に回せば、龍之介であることに気付いた店員がにわかに沸き立つ。
「TRIGGERの…」
「どうも。あ、カード持ってるんだよね?」
「うん、チャージもしてあるよー」
コーヒーショップ専用のプリペイド式カードを取り出し、龍之介に渡す。
店員は後ろに女が乗っていることに気付いて、ちらりと後部座席を見ようとするが、元々車高が低めであり、濃いめのスモークがかかっているが為にのことを確認はできなかったらしい。
「お預かりします」
会計を済ませカードを返せば、龍之介が後ろを向きカードをに手渡す。
その受け渡しの際にしっかりとの指をなぞったことは、店員には見られなかったようだ。
「商品お手渡しで良いですか?」
「はい」
一つずつカップを受け取り礼を言えば、龍之介は車を走らせる。
「バレちゃったかな」
「大丈夫だと思うよ。今、だったらすぐ騒がれちゃうだろうし」
最近テレビなどへの露出がかなり増えてきた。
週に一回は絶対に顔を見ると言っても過言ではない状態だ。
まもなくアンバサダーとして撮影したCMと広告も世間に出回る。
百とのドラマも撮影は済んでいるし、今回のMVも来月には発売だ。
ますます騒がれるようになることは、当然の事と言えるかもしれない。