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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第49章 49




「コーヒーショップくらい行こうか。ドライブスルーだけど」
「やったー!新作飲みたいっ」

着替えを終え、明日の打ち合わせを軽くしてから、龍之介とはいそいそとスタジオを出て車に乗り込む。
万理には龍之介の元へ行くと伝えてある。
まだマークされていないのか、記者の姿も全く見えないが、それでも油断大敵とは相変わらずの後部座席である。

「堂々と助手席乗れるようになりたいなぁ…」

ぽつりと呟くをミラー越しに見て、龍之介は微笑み頷く。

「そうだね。俺も堂々とと外でデートしたい」
「へへ、自分で言っといてあれだけど…龍くんがそう思ってくれてるってわかるだけで今は十分かもしれない」
「はホントに…いい子だね」
「そう?」

小首を傾げるをバックミラーで確認しながら微笑む。

「そう。いい子、可愛い子、大事な子」
「……照れる。…私さ、ずっと子ども扱いされるの嫌いだったの。でも龍くんが大切に大事にしてくれるの、すごく嬉しい」
「子ども扱い…してる?」
「うーん、“子”って言われるのが嫌なのかなぁ?わかんないけど…」

呟きながらは何かに思い当たったのか苦笑する。
龍之介が軽く首を傾げミラー越しにを見れば、はにこりと微笑んだ。

「何となく、ここで話す感じじゃないから、帰ってからでもいい?」
「うん。…でも話すのも、無理しなくていいよ?」
「無理ではないよ?いずれ話さなきゃって思ってたし…龍くんも引っかかってるとこあるでしょ?」

の言葉に、龍之介は小さく頷く。
小鳥遊事務所に向かい、社長と面談をした時の言葉。
「私は両親に愛されていません」の一言が、ずっと気にかかっていた。
こんなに才能あふれる、誰からも愛されることが約束されたような子から、そんな言葉が出てくるなど誰が思うだろうか。
その前も後もに全く変化はない。
いつも通りだったが為にスルーした方がいいのかとも思ったが、の事はきちんと知っておきたい。

「うん…」
「そんなおもっ苦しい話じゃないから大丈夫だよ」
「そう?でも、ちゃんと聞くからね」
「ありがとう」

にこりと微笑み頷けば、車はコーヒーショップのドライブスルーレーンに入る。

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