君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第49章 49
「ますます一緒に外とか出づらくなるね」
「もう少しの我慢だよ」
「うん、そうだね」
こくりと頷き、は座席に身を預ける。
車はそろそろ龍之介のマンションだ。
「あー、、ちょっと隠れて」
「ラジャー」
龍之介の言葉に、は後部座席に横になる。
おそらく記者っぽい姿があったのだろう。
「まずいかも」
向こうも龍之介の車に気付いたようで記者が近づいて来る。
は運転席の真後ろに身を隠し息をひそめた。
「十さん、お話いいですか?」
「どうかしました?」
「近頃、この辺りでさんの姿を見かけると情報がありましてね。さんと仲の良い十さんなら何か知ってるんじゃないかと…」
「ああ、このマンションに彼女の演技指導の先生がいるらしいですよ。このマンション何棟かあって広いから、俺はちゃん会ったことないですね」
「そうですかぁ…お時間取らせました」
「いえ」
「あとひとつ」
「?」
「随分甘いものお好きですね」
記者の目が向いていたのは先程買った飲み物。
確かに二つとも甘い味のものである。
「実はこういうの好きなんですよ。今新曲の練習中で余計体が糖分欲しちゃって。この事、内緒にして欲しいんですけど…良いですか?」
「はは、わかりました。黙っておきます。では、失礼します」
記者が去り、そのままセキュリティを開いて駐車場へ向かう。
「っはぁ…焦ったぁー!龍くんよく演技指導って出たね。コーヒーも」
「咄嗟にだったけど、あれで引き下がってくれてよかったよ…俺も焦ったぁ」
苦笑しながら駐車場に車を停め、降りる。
「頼りがいのある彼氏で幸せです」
「頼ってきてくれる彼女がいる俺も幸せ者です」
擦り寄ってくるの肩を抱き、頭に口付ければ愛らしい笑みが返ってくる。
そんなにそっと口付けて、二人は並んで部屋へ向かうのであった。