君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第46章 46
「です!宜しくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
「講義中、八乙女さんがさんを見て一目惚れという流れです」
「はい。視線どうしましょう?八乙女さんとは一回合わせたいねって話してたんですけど」
「良い感じだと思います」
スタッフの肯定に頷き、楽の位置を確認する。
「振り向いたらいますね、八乙女さん」
「良い眺めだろ?」
「最高です」
頷き笑い、はもう一度辺りを見回す。
前方には教壇。
手元の小道具はノートとペンケース。
「大学生っぽ…」
にこりと微笑み、ペンケースの中からボールペンを取り出す。
「…よし」
「皆さんお待たせいたしました!これからMV撮影に入ります。まずはリハーサルから行いますので、ご協力お願いいたします!」
はーい、とエキストラからも返事があり、スタッフがスタートを切ればは一度目を閉じ、ペンを顎辺りに当てながら教壇を眺める。
楽はを見かけ、そのまま視線が外せないかのようにじっと見ていた。
ふと、が視線を感じ、一度辺りを見回してから振り返り楽に気付けば、そちらを見て微笑んだ。
瞬間、楽は目が合った気恥ずかしさと喜びが綯い交ぜとなった表情を浮かべた。
「はぁ…可愛い…」
「楽、落ちたんじゃない?これ…すごい素の顔してる」
離れた位置でモニターを眺める龍之介と天は、の笑みを楽の反応を楽しそうに眺めていた。
「エキストラも被弾してるから、本番何回か撮りなおすことになるかもね」
天の言葉に龍之介が再度モニターを見れば、楽のみならず、うっかりの笑みを見てしまったエキストラも、顔が真っ赤である。
「ああ…可哀想…」
「勝者の言葉?それ」
「え?そういうわけじゃ…」
苦笑しながら首を振る龍之介に、天は冗談だよ、とくすくす笑う。
丁度カットがかかり、周りがホッとしたのが分かった。
「エキストラさんは講義に集中してくださーい。不真面目なのは八乙女さんだけで良いです」
「俺は真面目に見てますよ」
「そっちに真面目なんですか?!」
スタッフと楽、のやりとりに周りがくすりと笑う。
場の雰囲気が和やかになったのを感じ、今度は本番です!と声が響く。