君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第46章 46
「それでは本番五秒前!4、3…」
スタートがかかり、再度は演技に入り講義を受ける。
先程と同じように講義を受けていれば、視線を感じ辺りを見回してから振り向く。
そのまま楽と目が合えばにこりと微笑み、「八乙女くん」と口パクで楽を呼んだ。
楽はその不意打ちと言えるの行動に、思わず照れて視線を逸らし、口元を腕で隠す。
その顔は真っ赤だ。
「カーット!八乙女さん、大丈夫ですか?」
「…あ、ああ…大丈夫です」
スタッフの声掛けに頷き、やっべぇな…、と手で顔を仰ぎながら呟く。
「八乙女さん、名前呼ぶのはダメでした?」
「いや、不意打ち食らっただけだから大丈夫なんだけどよ」
「よ?」
「龍がハマんの、すっげぇ分かったわ…」
「?」
楽の言葉に首を傾げては見るものの、それから何カットか撮影し、場所を移動する。
「衣装着替えて来ます!」
次はデートシーン。
待ち合わせをしてから手を繋ぎ歩き出すというものである。
駅前の一角を仕切り、撮影開始である。
「よーい、スタート!」
スタートがかかり、は腕時計で時間を確認し辺りを見回す。
遠めに楽が走ってくるのを見つければ、嬉しそうに微笑み手を上げる。
[八乙女くん!]
そんなに楽はくしゃりと笑ってに駆け寄るなり、腕を引いて抱き締めた。
[八乙女く…]
[すっげぇ会いたかったっ!]
そんな楽の言葉ににこりと微笑み、も抱き着き返せば、楽は軽く体を離しての手を取った。
[どこ行きたい?]
[とりあえず、ご飯!]
の返答に一回笑ってから頷き、二人手を繋いで歩き出せばカットがかかる。
「OKです!」
「本物の恋人みたいで最高ですよ、お二人!」
「ありがとうございます!」
「良かった。ありがとうございます!」
次々と衣装とシーンが変わり、目まぐるしい中後半の撮影に入る。
リクルートスーツのようなものに身を包んだ。
楽もまたスーツに身を包み、二人でカフェで撮影を行う事となった。