君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第45章 45
「最初は八乙女さんと撮影ですね」
「おう、よろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
TRIGGERの中で一番の演技派と言われる楽との共演はとても楽しみであった。
撮影スケジュールは一日半。
歌唱シーンはすでに撮り終わっているらしく、ドラマパートの撮影がの仕事だ。
今日の内に楽とロケ、龍之介とスタジオで撮影、明日の半日で天とロケに出る。
スタジオの駐車場でロケバスに乗り換え、中で準備をしてから撮影に入るらしい。
「…着替えは?」
「え、ロケバスの中…」
「も?」
「今更そんな恥ずかしがらなくても」
違う、そうじゃない。
の言葉に龍之介はブンブンと首を振る。
「…俺が、の着替え他に見られたくない…」
「…………そんな可愛い事うのずるい」
可愛いのか?
さぁ?
の言葉に、楽と天が目配せで会話する。
「でも、お仕事だから仕方ない!」
「はい…」
の返答に、しょんぼり頷く龍之介であった。
一同が集合場所へやってくると、スタッフが走り寄ってくる。
「おはようございます!皆さんおそろいですね!早速出発したいと思います!」
「はーい」
本日のロケ場所は、大学のキャンパス内。
大学生カップルの想定でロケを進めていくらしい。
「仲良しカップルだったのに、別れちゃうお話でしたね。八乙女さんのソロ曲」
「あんな事言わなきゃ、こうならなかったのに。だけど俺のせいだから幸せになってくれって感じか」
「切な…また八乙女さんがしっとり歌うから情感増し増しなんですよね」
普段から聞いてはいるのだが、今日の撮影に向けてヘビロテで三人のソロ曲を聞いてきたである。
全員でロケバスに乗り、が座ったその隣に龍之介が座る。
「龍、と打ち合わせさせてくれ…」
「あ、そっか。そうだよね!ごめん楽」
ごく当たり前に隣に座る龍之介に、楽が苦笑しながら声をかければ、そのまま席を入れ替わる。
「いいか?」
「はい!宜しくお願いします!」
「ぷはっ、そんな緊張しなくていいって。なんなら楽って呼んでくれよ」
「が…すみません、恐れ多すぎて」
「……おっもしれぇな、お前」
くすくす笑いながら隣に座り、楽はタブレットを起動。