君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第45章 45
「曲が流れるからセリフは無いんだけど、どういうやり取りをしてるかっていう口の動きを見たいファンはいると思うんだ」
「私がMV見るなら何話してるか想像しながらみたいです」
「だろ?だからシーンごとに、大まかにセリフ決めたいんだ」
楽の言葉には賛成し、絵コンテを見ながら話し始める。
「まずこのシーン。講義中にお前に一目ぼれ…まぁ、ここは無言で良いと思うんだ」
「ん、で、次が待ち合わせですよね。…付き合ってるのに八乙女さんはやっぱり変ですよね」
「呼び捨て?」
「ですかね、同級生…?の感じ出てますし…八乙女くんと、楽と、楽くん…どれがいいと思います?」
「前半は八乙女くんで、後々呼び捨てが良いんじゃね?関係が深まったみたいな。で、会話は今日どこ行くか、とかそんな感じか」
「良いですね!そうしましょう!」
こくりと頷き、は自らの資料に書き込んでいく。
「後半ですねぇ…どうしましょ」
「そうだなぁ…売り言葉に買い言葉で別れちまった感じだもんな」
「ですね、その後に話し合って別れて…切ない…」
「ここはあれだ」
「「流れで」」
「だな」
「ですね」
二人でこくりと頷き、ある程度まとまれば、バスが停まる。
どうやらロケ地に着いたようだ。
「わー!大学初めて!」
「…高校生だったな」
「八乙女さん、さん、先着替えお願いします!」
「はーい」
スタイリストが衣装を準備し、いざ着替えようとすれば、に背を向け龍之介は仁王立ち。
「十さん…カーテンありますから」
「はい。でも俺はここを守ります」
使命感溢れる表情である。
そんな龍之介にくすくす笑いは軽く背伸びする。
「十さん、ありがとうございます」
「ん、うん。どういたしまして」
にこりと微笑むの笑みに、久しぶりに惚けてしまう龍之介であった。