君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第43章 43
、姉鷺は龍之介の素性を知っている。だが、十龍之介という一人の人物に敬意を払っているので、世間的になんと言われているかを忘れていた。
小鳥遊と万理はもちろんホテル王の息子と知ってはいたが、「TRIGGERの十龍之介」という認識が強かった為、失念していたようである。
「スポンサー問題、解決です」
「なるほど…あと問題があるとすれば、くんの年齢、外泊、あとは八乙女社長くらいかな?」
「う…」
「すみません、俺がきちんと帰すべきでした。うちの社長は…」
「そこは今出すとややこし過ぎるから後回しにしましょう」
後回しにされる、社長、八乙女宗助であった。
「ごめんなさい。翌日学校や仕事がある日はちゃんと寮に帰ります」
「日付が変わる前にね?くんは夜九時以降に仕事はないはずなんだから」
「はい…」
「遅くても0時までには必ず送り届けます」
並んで頭を下げると龍之介に、小鳥遊はこくりと頷いてから姉鷺を見る。
「僕が一方的に責めてしまったけれど、八乙女事務所としてはうちのと十くんのことはどう考えていますか?」
「十とさんの事は、私とTRIGGERのメンバーだけが知っています」
姉鷺の言葉に、万理が苦笑交じりにを見る。
「九条君と八乙女君にバレちゃったの?」
「はい、バレました」
「社長には、ある程度大きな仕事が終わったら、私から伝えようと思っていました」
「なるほど…八乙女くん過激だからなぁ…反対するかもねぇ」
苦笑交じりの小鳥遊に姉鷺も一度苦笑するも、大丈夫だろう、との返答が出た。
「確認を取ったわけでは無いので確かではないですが、八乙女はさんを大層気に入っています」
「え?」
「TRIGGERのMVオファーしたでしょ?」
「はい」
「一番最初にあんたの名前上げたの、うちの社長よ」
「MV撮影でが相手役の候補に挙がっているって聞いたから俺推したけど…まさか社長が…」
「引き抜きも考えてるかもね。まぁ、ちゃんなら私も欲しいけど…」
「「あげません」」
小鳥遊と万理の声がぴたりと揃い、は苦笑する。