君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第39章 39
スタイリストもメイクも、龍之介と共演したドラマからの付き合いになった。
どうやら向こうがの人柄を気に入ってくれたらしく、も二人に懐いたが為に、指名すると予定を空けてくれるようになったのだ。
「さ、着替えちゃお」
「ふわもこバスローブ準備しといたよー」
「え!それ最高ですね!買取しよっかなぁ…」
そんな話をしながら一着目の衣装無事着用。
「わー、こっちも所々透けてるんだ。でもそれほど透けてるの気にならないかも」
「そうだね。ちゃん肌綺麗だし、映える映える」
にこりと微笑み、バスローブを着せてもらう。
「おー!ふわもこ!温かいのに軽い!」
「でしょ。私のおすすめ!しかもそんな高くないんだよ。六千円くらい」
「買います!二枚!」
「お、じゃあ事務所送るね」
続いてメイクに入る。
まずはナチュラルメイクだ。
「清純だからねー。雅系だ」
「もう雅が懐かしくなってきました。最近の事なのに」
「あれから怒涛だったもんね。ドラマ何本撮った?」
「今はゲスト的な扱いが多いんで、単発で三本です。今度連ドラもあるらしいけど詳しい話はまだ」
目の前の仕事をこなすことに忙しく、先の予定が入っているのは解っているが詳細がなかなか目を通せない状況である。
いつでも目を通せるように鞄に資料は入っているため、鞄はいつもずっしりしていた。
「今日の仕事でまたオファー増えるんじゃない?」
「オフが…なくなる…」
即ち龍之介との時間も減るという事。
今までもオフが半分になったり、全部消えたりで龍之介との予定もキャンセルが出ることもあった。
これ以上減らしたくない。
けれど求められるうちに仕事をして何らかの爪痕は残したい。
ジレンマである。
「はい、出来た!おー、清純(?)な少女!」
「今ちょっと疑問形入りませんでした?」
「いや、透け感で清純感薄れてるような気もして…」
くすくす笑いながらメイクに言われ鏡を見れば、バスローブを着ているから和らいでいるものの、確かに清純と言い切れはしない。
「取り敢えず、スタジオいこっか」
「はーい」
薄いベージュのヒールを履き、は楽屋を出る。
そのままスタジオに入れば、スタッフの視線が集まった。