君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第37章 37
「だとしたら、TRIGGERファンとしては万々歳なんですけど」
「それ!TRIGGERファン!俺たちはー?」
「もちろん、Re:valeさんも大好きですよ?」
「ほんと?!やった!超嬉しい!」
嬉しそうに微笑む百にも微笑んだところでプロデューサーがやってくる。
打合せの開始だ。
「ありがとうございました!また撮影、よろしくお願いします」
「うん、頑張ろうね、ナースさん」
「はい!ドクター」
今回の百は医者役。
は看護師となるらしい。
打ち合わせも無事終え、次の仕事は八乙女事務所へ出向くことになる。
時間は少し余裕はあるが、早めに行くこととした。
「こんにちは。マネジメント部の姉鷺さんとお約束をしている小鳥遊事務所のです」
「伺っております。三階の会議室へどうぞ」
紡と二人分のパスを受け取り、二人で三階へ向かう。
「あれ…紡??」
「八乙女さん」
「楽さん、お久しぶりです」
後ろから声を掛けられ二人で振り向けば、楽の姿。
「おひとりですか?」
「ああ、龍は今から打合せだろ?天は暇だからってお前に教えるこないだの曲の振り付け指導考えてるし、俺はパシられて今から昼飯買いに行くとこ」
「抱かれたい男ナンバーワンをパシらせる天使…って、振付指導?!」
「こないだご指導くださいっつってたろ?」
「…それで九条さんがわざわざ?今お時間あるとはいえ?」
ほぼ社交辞令だと自分でも思っていたが、まさか実現してしまうとは。
申し訳ないような嬉しいような気持ちが綯い交ぜになる。
「なーんか、お前のこと気に入ってんだよな。お、エレベーター来たぜ」
開いたエレベーターの扉を手で押さえ、三階だったよな?と階数のボタンを押す。
「じゃ、また多分仕事一緒するだろうし、よろしくな」
「あ、はい!こちらこそ!ありがとうございました!」
更に閉ボタンまで押し、楽は締まる扉の向こうで軽く手を振る。
スマートだ。どこまでもスマートすぎる。
「さすが抱かれたい男ナンバーワンは違う…」
「これからナンバーツーに会いに行きますよ」
「そうだった」
くすくす笑いながら会議室へたどり着けば、扉をノックし開く。
途端、は逞しい腕に抱きとめられた。