君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第36章 36
一織はもともとさえているなと思っていたが、龍之介との関係性まで疑われるとは思わなかった。
今回ばかりは嘘をついて申し訳ない気持ちはあるものの、女優で良かったと思わざるを得ない。
TRIGGERのメンバーにはバレてしまったが、これ以上関係性を知っているものを増やすわけにもいかない。
小さく息をつくも、待っているであろう龍之介の元へ向かおうと歩みを進めたその先に、見慣れた車を見つけた。
「え…え?!」
車種、カラー、ナンバー、すべて一致と頷けば、は車に駆け寄る。
「龍くんっ」
助手席の窓をコンコンと軽く叩き、車を覗き込めば、嬉しそうに微笑む龍之介。
それにきゅんとするも、はロックが外されるなり助手席に滑り込む。
「なんでいるの?!」
「ラビチャ見て、ここなら学校からでも寮からでも会えるかなって」
迎えに来てくれたらしいが、は気が気でない。
フロントガラス以外はスモークがかかってはいるが、前からは丸見えだろう。
「見られたらどうするの…もう…」
「ん?大丈夫だよ。裏道だし、もうそろそろ暗いし…」
「その油断がダメなの。もう、後ろ行くね」
「怒った?」
しょんぼりとしたように問われ、は小さく息をついて龍之介を見る。
「嬉しいから、愛してるから、怒れません」
「良かった。…このまま、ドライブ行こっか」
「え、良いの…?」
「うん。高速乗るとき、助手席おいで」
にっこり微笑み、がシートベルトを付けたのを見れば車を発進させる。
「どこ行くの?龍くん」
「うん?俺のおすすめスポット」
わくわくきらきらとしたの瞳に、龍之介はくすくす笑いながらハンドルを捌く。
「コンビニ寄るね。高速乗るから助手席おいで?」
「はーい。あ、龍くん、コーヒー買ってこよっか?」
「ん?じゃあ、お願いしようかな。いや、でももそろそろ顔バレ…」
「みてみて、ニューめがね―」
伊達めがねをかけ、似合う?と聞いてくるに、思わず龍之介はくらりとしてしまう。
可愛すぎる…。何この子可愛い…。
「龍くん?」
「可愛い…可愛すぎる…」
「へへー、ありがと。コーヒー買ってくるね」