君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第32章 32
『さん、監督、プロデューサー共にものすごく期待されていたみたいですね』
「はい。初めてお会いした時に確かに「期待しているよ」とは言われましたが、プレッシャーを今掛けられるとは思いませんでした」
もう撮影終わってますよ、とが言えば、どっと笑いが起きる。
『十さんは、単独初主演でしたが、座長としてどんな心持で現場入りしましたか?』
「俺、あんまり気負ってはいなかったんです。みんなで良いドラマにできたらいいなって、それくらいで。で、いざ現場に入ったら誰より気負って誰より緊張してる子がいて」
くすくす笑いながら、この子なんですけど。との頭に手を乗せる。
「声掛けたら「吐きそうです」っていうから物凄く慌てて…そんな事してたら、初日の緊張感てあるじゃないですか。そういうのどっか行っちゃって。良い意味で気が抜けてみんなリラックスして撮影できたんじゃないかなーって思ってます。ね?」
「それ言わないでってお願いした奴じゃないですかぁ…」
「お。さん怒らせたねー、十くん」
「え?!ごめん!お詫び!お詫びする!」
「じゃあ十くん、お詫びにエンディング発表しよっか」
監督の言葉に、龍之介はここでですか?と笑いながらも背筋を伸ばし、はい!と頷く。
話しの流れの意味が解らずが周りをキョロキョロしていれば、音楽が鳴り出し、会場の後方の扉が開いた。
そこには、天と楽の姿。
報道陣が一斉にカメラを二人に向ける中、天と楽は笑みを浮かべステージへと歩いていく。
「う、そ…」
『突然ですが、ここで先程流さなかったエンディングを発表いたします!『愛していても』エンディングを担当するのは、TRIGGERの皆さんです!』
「」
「十さん…」
「のために歌うから」
耳元に唇を寄せて囁く龍之介に、は小さく頷き涙ぐむ。
それと同時に、天と楽がステージへと上がり、龍之介とを挟むように立った。
「さん、お疲れ様」
「九条さん…」
「よく頑張ったな。お疲れ」
「八乙女さん…」
「お詫びに、なった?」
「ご褒美ですよこれぇ…」