君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第32章 32
ダンスを覚えていくうちに、すっかりTRIGGERのファンになってしまっていた。
それを随所で公言していたため今回のサプライズが計画されたようだ。
「ちゃん、泣かないで」
「泣いたら俺たちの事ちゃんと見えねぇだろ?」
「君は笑顔の方が似合うよ。だから、笑って」
「私明日TRIGGERファンの皆さんに殺される…後で土下座します!」
龍之介から渡されたハンカチで涙を拭えば、ありがとうございますと呟き笑顔を浮かべる。
その笑顔に、会場中が彼女の愛くるしさに飲み込まれたのが分かった。
龍之介がを少し離れた場所へ案内し、三人でスタンバイ。
『それでは歌っていただきましょう、TRIGGERで『Even if ILoveYou』です!』
司会の紹介と共に音楽が流れ、TRIGGERが躍り出す。
目の前で憧れのTRIGGERが踊り、歌っている。
愛する人が、時折自分を見つめ笑ってくれる。
「…大好き…」
曲が終わり、司会者が礼を言い、拍手が起こる。
ある程度落ち着けば質疑応答へ入ると案内が入り、報道陣が前へとやってくる。
「ちゃん…」
「すみませ…感動しすぎて結局泣いちゃいました」
「泣いてても可愛い」
クスリと笑い、龍之介は体を屈めての顔を覗き込みハンカチで涙を拭う。
瞬間、フラッシュがこれでもかと焚かれた。
「ありがとうございます。CD出たら100枚買います。配信も、全サイトで買います」
「愛が重いな」
「一か所で良いよ」
「ファンの子たちとラビッターで死ぬほど盛り上がります」
くすんと鼻を鳴らし、何とか涙を止めてはにこりと微笑む。
「まずは、ダンス完コピしてラビチューブに上げるので、ご指導ください!」
「ホント好きだね、踊るの」
「はい!」
『TRIGGERの九条天さん、八乙女楽さん、ありがとうございました!』
「僕たちもドラマ見るから、みんなも見てね」
「龍がすっげぇカッコイイぜ!」
手を振りながら天と楽が退場するのを、は深々とお辞儀して見送る。
二人が退場しきってからやっと顔を上げ、お待たせしましたと再度報道陣に頭を下げ、質疑応答に入るのであった。