君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第27章 27
「こりゃまた、可愛い子でてきたねー!」
「とんでもないです!でもありがとうございます!」
「さんは、今回のドラマがデビュー作という事だそうで」
「はい。名前の付いた役は初めてです。皆さんの足を引っ張らないように必死でした」
「撮影はもう終わったのかな?」
「はい。一昨日…あれ?一昨日だっけ?」
「です」
答える龍之介の問いに、は龍之介を見上げ微笑み頷く。
「一昨日二人でオールアップして、あともう少しやることはあるんですけど、ほぼ放送を待つだけになりました」
「その時のお二人の様子が届いてますので、ご覧ください!」
今なんと?
と、は笑顔のまま脳内で疑問符を浮かべる。
オールアップの時、我らは何をした?
同じ思いを龍之介もしていたようで、二人思わず顔を見合わせる。
『十龍之介さん!さん!オールアップです!!』
『お疲れ様!ちゃん!』
『十さんも、お疲れ様でした!』
VTRには、花束を渡される姿と、ハイタッチで労い合う姿の部分だけが流れる。
懸念したシーンは、事務所側の指示で切らされたのだろう。
ほっと息をつき、はちらりと龍之介と目を合わせ小さく頷き合った。
「仲いいねぇ、二人!怪しいんじゃないのー?」
「あはは!よく言われてました!息ぴったりだねって」
「十さんが本当によくしてくださって、場の雰囲気を盛り上げるのが上手なんです。だから、私はもちろん、皆さんリラックスして撮影できてたと思います」
「そんなリラックス具合が伝わる映像も届いてますよ!」
またも予想していなかったらしく、は首を傾げVTRを見る。
「おぅ…」
『十さん、ここの振り付けわかんないです!』
『ん?あ、ここは…』
どうやらいつかの休憩中。
が練習しているTRIGGERの曲の振り付けを聞いている場面だった。
問いかけるに応え、二人でこーしてこーで、と踊っている姿が映し出された。
『出来たー!』
嬉しそうに笑うの笑顔で止まるVTRに、は恥ずかしそうに両手で顔を隠す。
「撮られてたんですね…?」
「全然気づかなかった…」