君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第27章 27
控室を出たは、先に支度を終えた龍之介に近づく。
「十さん」
「ちゃん…可愛い」
「いつもかっこいい人が何言ってるんですか」
既に番組自体は始まっているため、ひそひそと話していればスタッフが二人をスタジオ内へ案内してくれた。
「緊張してきた」
「生放送初めてだもんね。、手貸して」
「?」
龍之介の言葉にそっと手を差し出せば、指先をきゅうと握られる。
「冷たい…」
「緊張して冷えちゃった」
「俺がついてる。…頼りない?」
「ううん、いつも変わらず、十さんとなら大丈夫。そう思ってるよ」
「うん。じゃあ絶対大丈夫。一緒に頑張ろ」
「…うんっ」
手を握る龍之介の手を握り返し微笑めば、名残惜しそうにそっと離される。
これ以上は見つかってしまうかもしれない。
名残惜しいけれど、今からは仕事に集中だ。
「それでは、今週土曜午後八時から放送されるスペシャルドラマ、『愛していても』の主役お二人に登場していただきましょう!TRIGGERの十龍之介さんと、さんです!」
「行くよ」
「はい!」
司会の言葉に龍之介はを見て、が頷くのを見ればスタジオへと入る。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
「朝に登場してもセクシーだね十くん!」
「え?そうですか?ありがとうございます!」
「今回のドラマ、十くんは単独主演は初めてなんだよね?」
「そうなんです。一人で主役っていうのは初めてで不安だったんですけど、さんがいてくれて心強かったです」
龍之介の言葉に、はそちらを見上げてから微笑む。
「僕が紹介しようと思ったら先に十くんに言われちゃったね!改めてご紹介しましょう!今回のドラマヒロインを見事演じた、さんです!」
「初めまして!小鳥遊事務所所属、です!宜しくお願いいたします」
カメラに向かい、ぺこりと頭を下げてからにこりと微笑む。
その笑みに、スタジオ内のみならず、周りのスタッフも一瞬惚けたのが分かり、龍之介はかつての自分を思い出して小さく苦笑した。