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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第231章 231




「わがままですが、今回はそういう事でお願いできませんか?ドキュメンタリー番組を懸命に制作していらっしゃる皆さんには申し訳ないですが…もしくは後日撮り直しなど、可能ならいくらでも対応します」

そう言って頭を下げるに、撮影リーダーは小さく唸った後、わかりましたと頷く。

「十さんは申し訳ないですが、映せません」
「はい、承知してます」
「さんが駐車場へ降りてきて、事務所の車へ向かう場面だけ撮影します」
「ありがとうございます。ご迷惑おかけして申し訳ありません」

再度一礼するに龍之介もまた頭を下げる。
そんな2人に撮影リーダーは顔を上げてください、と苦笑する。

「本当はお2人の姿を撮りたいです。個人的には、TRIGGERの今置かれてる現状にも納得してません」
「佐伯さん…」
「TRIGGERが復活して、お2人で何かをするときは、また僕たちに撮らせてください」
「…っ、ありがとうございます」
「ありがとうございます。TRIGGERは必ず復活します。その時は、またと仕事をしたい。彼女との最初の仕事は、佐伯さんにお願いします」

ある意味やらせを撮らせてしまう事を心苦しく思うに、真実も含まれているのだから大丈夫だと撮影リーダーは頷く。

「撮り直しは結構あるんですよ。メイク落としたまま出ちゃったから撮り直して、とか、秘密の愛人と出て来ちゃったから撮り直せ、とか」
「あらま…」
「さんと十さんのように、こんなに申し訳なく思ってもらえることの方が稀です」

慰めなのかもしれないが、優しい返しを受けて、は小さく微笑み改めて礼を伝える。
その後、には一度建物に戻って貰い、撮り直しをしてからその日の取材は終了となった。

「芸能界こわ…」
「まぁ、モキュメンタリーな所もあるしね。俺のホテル王の息子とか」
「私の旅館の跡取り娘とかね。まぁ、最近それはあんまり言われなくなったけど」
「それはが全否定したのが大きいと思うけどね」

車に乗り込み、エンジンをかける龍之介を見ながらは小さく頷く。

「その中で真実を見つけるのって、難しいよね」
「俺は見つけたよ、を」
「龍くん…私も龍くんを見つけた。一つの嘘もない愛をくれる人」

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