君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第231章 231
「十龍之介だ…」
「なんでスタジオに…あ、さんもいるな」
「あの2人付き合ってんだってさ」
「やっぱかぁ…お互い片思いって無理あるもんな」
「花巻すみれがやめたからさんと付き合い始めたってこと?」
「いや、花巻すみれとの報道が嘘だったって話だぞ」
2人並んで歩く姿をひそひそと小声で話すスタッフ達。
TRIGGERがテレビに出なくなって暫く経つ今日、TRIGGERが悪だと決めつける者は減って来たが、まだまだ噂は出回っている。
けれど、も龍之介も、そんな事は気にならない。
というよりかは、目の前の愛しい恋人を前に周りの声など聞こえていない。
「どの辺まで行きたい?」
「うーん、そうだなぁ…海が見えるとこ!」
「いいね。ここからだと30分くらいかな」
がぴったり寄り添い、そんなの肩を抱く龍之介。
どこから見ても付き合っているのが丸わかりな2人の姿に一同視線を外すことが出来ない。
「でも、ホントに私の欲しい服よくわかったね」
「、記憶力良いから割と雑誌とかも読むの早いのに、そのページだけじっくり見てたから」
その時のはブランドや値段などをじっくりと見ていた上に、自分が着てみるならばどんなものと併せるかのコーディネートも考えていたらしい。
故にいつもよりページをめくるのがゆっくりだったのだ。
それに気付く辺りは、普段からの観察の賜物と言えよう。
「おかげで俺もブランドとかチェックできたんだけどね」
「本当に嬉しい。今シーズンこの服ヘビロテ決定だよー」
龍之介を見上げ微笑むはやはりカメラの前に立つよりも愛らしい。
普段着で、メイクもナチュラルに戻しているにも関わらず、これだけ愛くるしいのはやはり龍之介が傍に居るからなのだろうか。
そんな2人はうきうきと駐車場へ降り、そして思い出した。
密着取材班が待っていたことに。
「お疲れ様です、さん。十さんとご一緒…ですか」
TRIGGERをテレビに出せない現状。
それでなくても、スキャンダルに発展する映像は撮れない。
「まだ早い時間ですし、仕事上がりに買い物へ行くのは不自然でしょうか?」
の問いに、取材班は首を横に振る。
「いいえ。問題ありません」