君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第230章 230
「どしたの?」
「早く終わったから…デート行きたいのに!服が!服がぁ!」
朝から晩までスタジオやインタビューで缶詰めになるからと、ゆるゆるの普段着で仕事へ出てしまった。
スポーツカジュアルと言えば聞こえがいいが、トレーナーにスウェットなその出で立ちに、下着姿のまま鏡の前でがっくりと項垂れる。
「、駅まで送っ…なんて格好してるの?!着替えて着替えて!」
「服がないんですぅぅ」
「え?!盗まれた?!」
「え?!違、違います!違うんです!出かける服が無いんですっ!」
誤解を招くの言葉に案の定万理が顔色を変えれば、はわたわたと訂正する。
この2人実は面白いんだよな、とスタイリストが小さく笑う中、なんだ、と安堵した万理は取り敢えず着なさい、とバスローブをに手渡す。
「すみません…」
「デートだもんねぇ、お洒落したいのは解るけど…」
バスローブを着たに苦笑しながら頷いていれば、楽屋の扉がノックされる。
万理が扉に向かい小さく開けて来訪者を確認すれば、そのまま扉を大きく開いた。
「」
「龍くん?!え、どうしたの?」
「デートの約束してたけど、そういえばスウェットだったなって思いだして…」
着替え欲しいかなって思って持ってきたよ。
そう言って衣装カバーを持ち上げて微笑む龍之介の笑顔が、超眩しい。
神様かこの人は、とこの場にいる全員が思った。
「龍くん…ありがとぉぉぉ!!嬉しい!着替えどうしようって思ってたのーっ」
「流石十くん…!」
「スパダリ…スパダリだわ…!」
喜びの感情のままに龍之介に突進し抱き付くに、びくともせぬまま抱き締める龍之介。
そっとの頭を撫で、顔を覗き込む。
「ん、あんまり疲れてないね。良かった。これ、俺が選んじゃったけど…大丈夫かな?」
「龍くんのセンスが最高のセンス!着替えてくるねっ」
何とも嬉しそうに服を受け取り、は更衣カーテンの中へと入って行く。
「ここまでスムーズにこれた?」
「はい。まだ顔覚えてて貰えたんで」
万理の問いに龍之介は頷き、安心しました、と微笑む。
しゅるしゅるとが着替える音が聞こえ、続いてシャッとカーテンが開いた。