君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第230章 230
「龍くん、これ私見たことない服な気がする。ていうか、いいなーって雑誌見てたやつ!」
「サイズぴったりだったね。これ、前にがじーっと見てたから…」
本当は、もう少し前に渡すつもりだったんだけどね。
と、龍之介はに歩み寄り微笑む。
「一緒に暮らしてから1か月の時に渡そうと思ったんだ。家事も仕事も勉強も、俺たちのために頑張ってくれてありがとうって」
「龍くん」
「でも、季節がちょっと早くて…だから、着れる季節になったら渡そうって。それが今日」
いつも支えてくれてありがとう。
そう言ってそっとの頭を撫でる龍之介に、はうりゅうりゅと瞳に涙を溜める。
「龍くん…私こそありがとう。大好き、愛してる」
「俺も愛してる。すっごく似合うよ」
「えへへ、嬉しい」
「負けた……スタイリストの私が…これ絶対ちゃんのイメージと違うと思ってたのにー!めっちゃ似合うじゃーん!十くん凄すぎヤバすぎ!」
「のことで十くんに勝てる人はいないみたいだね」
周りから褒められ、照れ臭そうにぺこぺこと頭を下げる龍之介に、は微笑みながら寄り添う。
「勉強になったわぁ、超可愛い」
「ありがとうございます。は何でも着こなしちゃうから何買っても似合うけど、が気に入るかは少し心配だったんだ」
「龍くんが私の為にって選んでくれたなら道端の石ころでも嬉しいっ!」
「あはは、そう言って笑うは最高に可愛い」
そっとの肩を抱き微笑む龍之介は、そろそろ行けそう?と声をかける。
が頷き荷物を持ち上げれば、手持ちのハンドバッグ以外はすべて龍之介が持ち上げた。
「ありがとう」
「どういたしまして。じゃあ、お疲れ様でした」
「お先失礼します!お疲れ様でした」
「お疲れ様、また明日ね」
「おつかれー」
幸せそうに楽屋を出ていく二人を見送り、万理は己の荷物をまとめ始める。
「ちゃん、幸せそうですね」
「十くんといるときの方がカメラの前より良い顔してますね。早くTRIGGER復帰して一緒に仕事したいです」
「ですねぇ」
そう言いながら万理は思う。
その日は、ゆっくりと、だが確実に近づいていると。