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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第229章 229




「大丈夫でーす」
「じゃあセット調整してすぐ始めようか」

監督もそんなに慣れているのか、あっさりとをセットに上げる。
他の共演者の準備も終わり、皆が頷けばスタートがかかる。
密着スタッフが固唾を吞んで見守る中、はあっさりとNGなしで問題のシーンを撮り終えたのであった。

「いや、すごいっす。突然の変更だったのにNGなしとは…疑ってすいません」
「あはは、ありがとうございます」
「セリフを覚えるコツとかあるんですか?」
「コツ…私は相手がいる方が覚えやすいみたいなので、マネージャーさんやスタッフさんに手伝ってもらってセリフ合わせをすることが多いですね」

休憩時間に密着取材の簡単なインタビューに答える。
その間にも台本のチェックなどをしても良いと言われ、台本を捲りながらは微笑み答えていた。

「事務所さんからNG出ちゃってるんですけど、やっぱりお部屋とかは…」
「ダメです」

スタッフの言葉に、の傍で控えていた万理がにっこりと微笑み再NG。

「ですよねぇ」
「流石に未成年なので、部屋はちょっと難しいですね」
「せめてこだわりポイントだけでも…!」
「私の部屋のですか?うーーーん…TRIGGERグッズがより映えるようにコーディネートしてます!」
「なるほど。TRIGGER狂い女優の名はダテじゃないと」
「はい。八乙女さん、九条さん、十さんのカッコ良さをより際立たせるようにこう、位置とかですね、向きとかですね、更には壁紙も…」
「はいはい、そこまでそこまで。TRIGGER語らせたら何時間も話すんでこれくらいで」

後ろから万理に口を塞がれ、は万理を見上げる。

「はい可愛い。いい子だから撮影に集中してください」
「はぁい」

の返事に頷き、万理もまた頷いて台本読みへと戻せば、呆気としたスタッフに首を傾げる。

「どうかしました?」
「いえ、随分と仲が良いなと…」
「ああ、俺、彼女いても彼女よりこの子を優先すると思いますよ」
「やっぱり可愛いですか」
「そうですね。可愛いです」

それがどの可愛いなのか、スタッフに判別は出来ない。
けれど、本心であることはすぐに分かった。

「さすがですね」
「うちの自慢の子です」

そんな万理に、スタッフもまたこくりと頷くのであった。
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