君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第229章 229
~おまけ~
「はぁ…」
「なんだよ溜息なんかついて…」
「密着取材中、の送りと出迎えが出来ないって嘆いてるんだって」
朝食の時間。
小さく溜息をつく龍之介に楽が声を掛ければ、龍之介の代わりに天が答える。
「ああ、なるほどな」
「さっきも今日から取材ってこと忘れて、変な言い訳しちゃったし…」
「咄嗟にだからしょうがねぇだろ」
「…出迎えすらできないなんて…」
がっくりと項垂れる龍之介に、これは重症だと楽は苦笑する。
そんな中、龍之介のスマホに着信。
「!」
『龍くん、お疲れ様』
「お疲れ様。どうしたの?休憩?」
「さっきの陰鬱な龍はどこ行ったんだよ」
「に関しては喜怒哀楽激しいから、龍」
しょんぼりとしていた龍之介はどこへやら、あっという間に太陽のような笑顔で電話に出る。
『うん、早く龍くんに会いたくて…せめて声だけでもって思って』
「可愛い…うん、俺も早くに会いたいよ」
「1時間前に出かけたばっかりでしょ」
「1秒も離れたくねぇんだろ」
ツッコミ満載である。
けれど、そんなツッコミに苦笑だけ返し、龍之介は電話先のの声に聞き入っている。
「今日の晩御飯はグラタンにしようと思ってるんだ」
『嬉しい!お腹空かして帰るね!仕事落ち着いたら私もまた皆にご飯作るね』
「楽しみにしてる。」
『なぁに、龍くん』
「愛してる」
『へへ、私も愛してる。じゃあ…そろそろ休憩終わっちゃうから行くね』
「行ってらっしゃい。頑張っておいで」
『帰ったらいっぱいぎゅーしてね?じゃあ』
ピ、と通話を終え、龍之介はそのまま額を机に落とす。
「可愛すぎる…」
「そうだね。いっぱいぎゅーしてね、とか可愛すぎる」
「?!」
「途中からスピーカーになってたぞ」
「嘘?!!うわぁぁぁ!ごめん!」
「なんで謝るの。に愛されてる自慢したから?」
「いや、その!違う!ごめん!」
まさかの睦言が聞こえていたことにパニックになる龍之介。
そんな龍之介を、にんまりと笑って見つめる天と楽であった。