君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第229章 229
「というか、君たちは別の部屋に住んでるはずなんだけどね?」
万理の言葉に、それもそうだとは頷く。
が隣の部屋に越して早数か月。
龍之介が地方へライブに出かけた時以外、別々で眠ったことはほぼ無い。
「仲が良くて何より。ちくしょう」
「本音が漏れてますよ、万理さん」
隣でハンドルを操作している万理も、に焦がれてやまない男たちの中の1人。
と龍之介の仲を裂くようなことは決してしないが、こうしてへの想いを隠すことも最近減っている気もする。
というよりかは、この片思いを楽しんでいる節さえある。
「話し変わりますけど、万理さん。ちゃんと寝てます?」
「ん?うん。事務員も増えて引き継ぎもほぼ終わってるから、俺はのマネに専念できるようになってきてるしね」
「それは有り難いし、それなら良いんですけど…」
がマネージャーは万理でなければ嫌だと言ったその翌週には、新しい事務員が2人増えた。
自他ともに認める万能事務員を奪ってしまったことに若干の罪悪感を覚えながらも、マネージャーに専念すると決めてくれた万理と、そんなと万理のワガママを受け入れてくれた小鳥遊には感謝しかない。
「さて、今日から1週間密着が入るわけだけど」
「はい。こーれは中々にべったりですね」
「うん、まだ公表できない現場もあるからその時は外れるけど、それ以外は朝から晩までついて来るから覚悟しててね」
「…電話も出来なくないですか?」
「楽屋の撮影は一部しかないから、楽屋でなら」
「ん、ならその時に龍くんに連絡します。結構密着取材って大変ですね」
「のプライベートとか、割と知られて無いからね。色々探りたいみたいだから気を付けて」
「龍くんとのことはもちろん、あの事件とかですね。了解しました」
とて余計なスキャンダルはご免である。
深く頷き、まずは最初の撮影現場へと到着した。
「おはようございます」
「おはよう、さん。今日から密着だっけ?売れっ子だねぇ」
「みなさんのおかげです!」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。さて、早速なんだけど」
「はい」
現場に到着するなり打ち合わせを始めると監督。
朝一の寝ぼけ眼はもう微塵もない。