君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第223章 223
「すみません」
素直だなぁ、と小さく頷きながらは理を見る。
見れば見るほど、環に似ていると感じる。
「環に似てるねぇ」
「小さい頃から、似てるって言われます。環兄ちゃんは、さんが好きみたい」
「……それは、私には何とも言えないけど…環は本当に仲間思いで家族思いだから、私のことも気遣ってくれる。本当にありがたいよ」
「環兄ちゃんと、付き合ったり…」
「それは出来ない。私には、もう離れられない人がいるから」
秘密ね?
そう微笑み人差し指を口元に置いた瞬間、後ろから抱き締められた。
確認せずともわかる、愛しい香り。
「、お待たせ」
「龍くん、全然待ってないよ。ただいま」
「おかえり。あれ、理ちゃんだよね?天の妹の…」
を抱き締めたままその頬に口付け微笑めば、の隣できょとんとしている理にやっと気づいた様子でそちらに視線を向け、龍之介は首を傾げる。
「お久しぶりです、十さん」
「入り口でばったり会って、一緒に買い物してたの」
「そうだったんだ。、重いでしょ?カゴ持つよ」
「ありがと」
「理ちゃんのも…」
「私は大丈夫です。重いもの買わないので」
首を横に振る理に、そう?と微笑み龍之介はからカゴを受け取る。
「今日ご飯何する?」
「天がオムライス食べたいって言ってたから卵買わないと」
「こないだ卵切れてたの忘れててチキンライスにしたら無言で怒ってたもんね」
「あれ、すっごく可愛かったよね!」
「怒っても可愛いんだよね、天って」
くすくす笑い合いながら頷く龍之介とに、理は小さく苦笑する。
完璧でカッコいいはずの兄が、彼らの前では年相応の少年らしさを出している事を知って少しばかり嫉妬と共に安堵も覚えた。
「あ、そういえばさ、理ちゃんていすみんとも何かある?」
「いすみん…ハルちゃんの事ですか?」
「そうそう。亥清悠くん」
「はい。友達…です」
「やっぱそっか。学校で環といすみんがあっちゃんってこのことで言い合ってたから、理ちゃんの事かなーって思ってたの」
なるほどねぇー。と頷きながらは商品棚に視線を向け、そして龍之介を見上げる。
「………」
「?」
「プリン食べたいの」
そんな上目でおねだりしないで頼むから。