君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第220章 220
思わず踊り出したくなるような明るい音楽は、の晴れやかな笑顔にぴったりであった。
優勝のお祝いに相応しい、祝いの曲。
皆がリズムに乗り、テンションが最高潮の中、は1曲歌いきる。
「最高ー!!」
「ー!!」
「ありがとうございまーす!でーも、これで終わりじゃないんだよ?」
楽しそうに笑うがミニスカートのリボンをほどけば、衣装がガラリと変わる。
リボンで巻き上げていたのだろうスカートがすとんと伸び、今度はウェディングドレスを思わせるくるぶし丈の衣装に身を包み、にこやかに微笑んでいる。
「…綺麗…」
「あと1曲、聞いて下さい」
それは美しい旋律のバラード。
の華やかで可憐な声にピッタリの恋の歌。
貴方に出会えたから、私は幸せ
貴方と歩んだ道のりは、これからへの前奏曲
これからも傍に居て
私と一緒に歩んでほしい
そんな思いが込められた歌詞に、龍之介はを見つめ、時折頷く。
からのメッセージを受け取るように。
美しいその曲は間奏に入り、ステージを降りたは龍之介に手を伸ばす。
その手を取れば、片腕は腰に沿えるように促され、片腕はを手を繋いで向かい合った。
「ワルツは専門外だよ?」
「一緒なら踊れるよ」
微笑むに小さく笑い、寄り添った2人は見つめ合う。
「綺麗な曲だね。歌詞も…すごく素敵だ」
「龍くんへの想いを書いてたら、こうなったの」
「ありがとう、すごく嬉しい」
ゆっくりとステップを踏めば、龍之介も要領を得たようでともにゆっくりと踊り出す。
「息ぴったりじゃん!」
「流石としか言いようがないなぁ…」
感嘆の息を漏らす一同。
間奏が終わると同時に、は龍之介の頬に手を添えながらしっとりと歌いだす。
「ホントにいい声」
「……俺、あの曲知らないんだけど」
「…は?」
万理の一言に、千はそちらを見て声を漏らす。
「マネージャーのお前が知らないって…じゃあ、あの曲あの子が…?」
「曲の作り方は軽く教えたことあるけど…」
「軽くでこのクオリティ?」
とんでもないな。
そんな千の言葉に万理は額に手を当てながら頷く。
それこそとんでもない化け物級の子を所属させたのかと、今更ながら思い知る。