君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第219章 219
百の呼びかけにがカウンターから出れば、そっと腰を抱かれてエスコートされる。
「王者にエスコートされちゃった」
「はお姫様だから」
「それは光栄すぎる」
くすくす笑いながら集まり始めているメンバーたちの輪に混ざる。
「さて、皆集まったかにゃー?」
百が周りを見渡し全員が揃っていることを確認すれば、頷き笑う。
「よし!まずはTRIGGER!MOP優勝おめでとう!」
「ありがとうございます」
「俺たちが出場辞退して、ZOOLも辞退して、やらせだのなんだの批判が出まくった」
百の言葉に皆が神妙に頷く。
出来レース、やらせ、復活への作られたシナリオ。
FriendsDayでの話題性と高評価はあっという間に批判に移り変わった。
世の中がそんなものだとわかってはいるが、それに晒される側になるのは相当に辛いものがあるだろう。
「それでも、君らはやり切った。あの一体感や完成度はなかなか出せないよ!本当にすんごかった!で、IDOLiSH7!あれだけの批判にTRIGGERが晒されてる中、全力で勝負した。だから視聴者を動かした。どっちも最高!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます、モモさん!」
「そんな2組の勝負にかんぱーい!」
「今日は無礼講だよ、楽しんで」
百と千の言葉に皆笑顔で答え、グラスを交わす。
もまた乾杯、とグラスを掲げてから龍之介とそっとグラスを合わせた。
「」
「ナギくん」
「少し、いいですか?」
「もちろん」
ナギの様子ににこりと微笑み、は見ながら少し離れ、会場の端の方へナギと向かい、向き合った。
「貴女は、鋭いですね」
「みんなの事、見てないようでちゃんと見てるんだよ?」
「YES、だからこそ、隠したかったのですが…」
困ったように笑ってから、ナギはそっと俯きぽつりぽつりと話し出す。
素晴らしい曲に隠された恐ろしい暗号と、ナギの出身の国の話、その国にとってナギはとても重要な人物であるという話。
大切な人の為に、戻らなければならず、そうなれば大切な人たちを失うかもしれない話……。
「ワタシは、ここに居るみんなが大好きです」
「うん」
「けれど…美しい祖国も、今のワタシの礎となった人も…大切」
「…うん、わかるよ。私が言えることは一つかな」