君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第217章 217
「行ってくるね」
「行ってくる」
「行ってきます」
「いってらっしゃい。頑張って!TRIGGER、愛してる!」
パフォーマンスを終えたIDOLiSH7を出迎え、そしてTRIGGERはステージを見つめる。
真っ直ぐに。愛しげに。
そんなTRIGGERの背中を、もまた愛しげに見つめていた。
「行くぞ、お前ら」
「おう!」
「うん」
楽の掛け声に龍之介を天が応え、3人でステージへと足を踏み出す。
IDOLiSH7に劣らぬその歓声に、何とか収めた涙がまた溢れてしまった。
「泣き過ぎよ、あんた」
「姉鷺さんこそ泣きそうじゃないですか」
「誰だよっち泣かしたのっ」
「犯人はもうステージの上です」
環と一織の声の直後、音が流れだす。
脳に響くその音に、胸に響くその歌声に、体中の血が沸き立つほどの興奮が襲ってくる。
まるでTRIGGERが一つの生き物になったような一体感。
恐ろしくて、でも楽しそうで、とんでもなくカッコイイ。
「TRIGGER…っ!」
「完璧なパフォーマンス」
「ただ、目の前に居るファンを笑顔にしたい。そんな思いが伝わってきますね」
「世間のどんな声より、ファンを笑顔にすることを、大切にすることを考えてる。やっぱすげぇよな」
IDOLiSH7のメンバーも、TRIGGERのパフォーマンスに魅入っていた。
それ程に、今日のTRIGGERは圧倒的な迫力でパフォーマンスを見せてくれている。
「ちゃん…」
「…ん?なぁに、陸」
「俺、天にぃに負けたくない」
「天も、陸に負けたくないんだよ。おにーちゃんの意地見せてくれてるの、わかるでしょ?」
「うん。やっぱり天にぃは凄い。でも、だからこそ…負けたくない」
「…うん。私も、負けたくない。TRIGGERがくれる愛に負けないくらい、TRIGGERを愛したい」
の瞳はTRIGGERから一瞬も離れることは無く、輝いている。
TRIGGERに恋をして、愛して、ずっと傍に居た。
それが誇らしくて、愛しくて仕方ないのだと物語っているように。
『ありがとうございました!』
圧巻のパフォーマンスが終わり、TRIGGERが袖に戻ってくる。
「お疲れさん!」
「最高でした!」
スタッフも、IDOLiSH7のメンバーも、TRIGGERを出迎える。