君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第215章 215
「おや、ATMの彼じゃないか。可愛い彼女だねぇ、」
そこに悠々と声をかけてきた一人の男。
ツクモプロダクション社長、月雲了である。
「ATM…?」
「ああ、『あなたは、ちっぽけで、無力だ』」
「言いたくないから略してるのに、わざと?」
「そう言う訳じゃないですけど…」
「急いでるので、失礼します」
が龍之介の手を軽く引きその場を去ろうとした瞬間、月雲はの腕を掴む。
「綺麗な体のまま帰れた?」
「…っ!!」
その言葉にの眼は見開かれ、龍之介はとっさに月雲の腕を掴み、の腕からその腕を外させる。
「意味が解りません。何のことですか?」
「あれ?聞いてない?鳳響也から」
「…さぁ、何の関係もありませんから。逮捕されたことをニュースで知っただけです」
「、おいで」
「へぇ、モモと言い君たちと言い、アイドルは痛みに鈍いみたいだな」
「百さん…?」
「モモなら、酔っぱらってベランダから落ちて死んだよ」
月雲のその言葉に、は振り返り、龍之介は月雲に掴みかかる。
「百さんが死んだ?嘘をつくな!」
「TRIGGERの十龍之介が殴りかかろうとしてくるよー!」
「龍くん、離して」
月雲の叫び声との静止に、龍之介は掴みかかった手を離す。
瞬間、バチンと大きく乾いた音が響いた。
「嘘つくんじゃないわよ。ここまで下衆だったなんて…」
「が僕を叩いたー!」
「どれだけでも喚いて下さいな。あ、撮影でーすっ!リハ中です!カメラ映りこんじゃうんで少し離れてくださると嬉しいです!」
月雲の再度の叫びに集まっていた通行人たちは、の掛け声と微笑みにその場から遠巻きに離れていく。
「はっ、流石人気女優だね。でも僕は君を許さない。こんなに愛してるのに、TRIGGERを歌って…TRIGGERの姫だなんて呼ばれて…」
月雲の言葉に、FriendsDayでの百の懸念が具現化したことをは悟った。
より一層百の安否は気になるが、それならばそれで月雲からきちんと情報を得るべきだ。