君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第213章 213
再度また軽く何度か口付け、ようやく龍之介は頷く。
互いが見えなくなるまで手を振り合いながら、名古屋へと出発したのであった。
「はぅ…寂しい…」
龍之介の姿が見えなくなるなり即座に寂しがるだが、自らの出発時間も迫っていることに気付く。
「今日は…CM撮影と…打ち合わせとインタビューとファッション誌の撮影…最後に事務所でまた打ち合わせ。1日24時間じゃ足んない…」
今日も詰め込まれたスケジュールに、仕事がある有難みを感じるとともに若干の疲労感を覚える。
若手トップ女優に躍り出たは、テレビはもちろん、雑誌、広告看板など、彼女を見ない日はないのではないかという程に様々な媒体に出ている。
これだけの露出があれば不評も出てくるかと思いきや、裏表のなさそうなその朗らかなキャラクターのおかげか、スキャンダルが全くないからか、露出に比例して好感度も上がっているのがありがたい。
「あ、万理さん。もしもし」
『あ、。そろそろ着くけど準備出来てる?』
「はい!ばっちりです!」
『じゃあエントランスに車付けて待ってるね』
「はーい。今から降ります!」
電話を切り、仕事用のカバンを持って扉を開ける。
「行ってきます」
部屋の中に声をかけ、返事はもちろんないのだがそれでも3人の面影に微笑み、もまた仕事へと出かけるのであった。
「うひぃーーん。疲れたぁ」
「お疲れ様。今日もよく頑張ったね」
すっかり日も暮れ、事務所を出たはぐぃ、と伸びをする。
「さて、夕飯は?」
「適当に栄養のあるもの食べます」
「うん、心配だ。よし、今日は俺がご馳走してあげよう」
「へ?そんな、悪いですよ」
「良いの良いの。たまには俺にも甘えなさい」
微笑む万理に、ならお言葉に甘えて…、と頷き、連れてこられたのは小さな洋食屋。
「わー、おしゃれ」
「でしょ?前に一回ユキと来たんだ。もうすぐデビューするかもって時に」
対面して席につき、万理はメニューをに差し出す。
食べたいものと飲み物を決め、注文して人心地付けば、は万理を見て微笑む。
「…2人でRe:valeだった時ですね。あ、この間ユキさんにライブ映像お借りして見ました!万理さんすっっごくカッコ良かったです!」