君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第210章 210
だが、事件の証拠品として現在色々調べられているらしい。
必ず元の状態で戻すという刑事の言葉を信じて待っているが、中々すぐには戻ってこないようだ。
ちなみにスマホは奇跡的に画面の液晶カバーが割れただけだったので、引き続き使用できている。
「ああ、なるほど。いつ戻ってくるのか聞いておこうか?」
「昨日刑事さんから連絡来た時に聞いたんですけど、後二、三日かかるって…帰ってくる頃にはあの台本の撮影終わってるんですよね」
「確かに…」
苦笑気味のに同じく苦笑を返し、そうだ、と万理はを見る。
「事務所で社長にのこと話したら、本当にGPS持たせようかって真顔で言ってたよ」
「社長も過保護だなぁ」
くすくす笑いながらは、それでも良いかもしれない、と頷く。
「いいの?さすがに小学生じゃないんだからって俺止めたんだけど」
「あ、そうなんですか?でも、龍くんもGPS検索してましたよ」
「過保護が過ぎるよ、社長も十くんも…まぁ、俺も緊急時の警報ブザー買ったけど」
そう言って万理が差し出したのは板チョコ型のキーホルダー。
「音が鳴るだけだけど、これ引っ張るとすごい音鳴るから」
「小学生の時持ってましたね、これ。私が持ってたのはもっとシンプルでこんなに可愛くなかったですけど」
微笑み礼を言いながらキーホルダーを受け取り鞄に取り付ける。
「もしホントにGPS持つことになったらいったん教えてもらっていい?」
「わかりました。さて、メイクはこのままで…着替えちゃいます!」
「うん、待ってるね」
万理の様子から、龍之介はまだ仕事のようである。
のスマホにも仕事の移動の連絡と晩ご飯の有無の連絡があるだけで、迎えに関してはない。
「えへへ、頑張れTRIGGER」
MOPに向けて懸命に取り組んでいる彼らはとても誇らしい。
それなのに、あんな事件に巻き込まれて、特に龍之介には心労をかけてしまった。
彼は絶対にそんなこと思わなくていいと言うに違いないが、それでも申し訳なさは付き纏う。
「こんなん考えてもしょうがないけどなぁ」
「どんなん?」
「いやぁ、私がいかに十さんに依存してしまっているかを考えまして。相当な気がするなぁと」
「ふーむ、ちゃんだけじゃない気もするけどねー」