第8章 乙骨憂太くんに愛されたい①
目覚めると憂太の顔が間近にあって、思わず息を飲んだ。
えっ?
何で?
私、憂太に抱きしめられてるの?
顔に熱が集中する。
自分から責めるは平気なのに。
こういう不意打ちは、恥かしい。
そもそも何で私生きてるんだろう?
あの時聞こえた声。
もしかして真希ちゃんと憂太が助けに来てくれた?
そっと腕の中から出て行こうとすると、憂太を起こしてしまった。
「…ん…名前…ちゃん?」
「…あ…ごめん。起こした?」
「…ん…平気。良く寝てたね」
「えっ?」
寝顔見られちゃった?
視線が重なって、戸惑ってしまう。
「ゆ、憂太。何で一緒に寝てるの?」
「名前ちゃんが心配だったから」
ふにゃりと笑う憂太。
いや。
いくら心配だったからって、何で一緒に寝るかな?
可愛いから許せちゃうけど。
「助けてくれて、ありがとう」
「うん」
そろりと憂太から離れようとする。
でも、グイッと引き寄せられてしまう。
また憂太の腕の中にスッポリと収まった。