第8章 乙骨憂太くんに愛されたい①
side.乙骨憂太
「真希ちゃんっ!大丈夫!?」
「私は大丈夫だっ!それより名前は!?」
凄い怪我だ。
反転術式が使えて良かった。
「もう大丈夫。変わるから。名前ちゃんをお願い」
「ああ。分かった」
刀身に呪力を込める。
「僕さ。怒ってるんだ…」
呪霊にじゃない。
自分自身に。
「名前ちゃんが心配だから。早く終わらせよう?」
襲ってくる特級呪霊を一撃で祓う。
特級呪霊が消えたことにより、生得領域も消滅した。
「真希ちゃん。大丈夫?」
「ほんの掠り傷だ。それより憂太。お前なんて顔してんだよ」
女の子2人に傷を負わせたことに、罪悪感を感じる。
今朝、僕が名前ちゃんを避けたりしなければ。
こんな事にはならなかったかもしれない。
「辛気臭え面の理由は知らねえけど。名前は無事だったんだ。もっと喜べよ」
「そうだね」
「じゃ。さっさと帰るぞ」
「うん」
名前ちゃんの身体を抱き上げると、すごく軽くて驚いた。
女の子ってこんなに軽いの?