第8章 乙骨憂太くんに愛されたい①
翌日。
寮には憂太の姿が見当たらなかった。
これから任務にいくのにな。
今日の任務はちょっと厄介で、女性ばかりを襲う呪霊らしい。
等級も不明。
流石に特級ってことないよね?
嫌な予感がしてならない。
溜息を零して、一人討伐に向かった。
残念なことに、嫌な予感ほど良く当たるっていうよね。
正にそれだ。
相手は生得領域まで使う特級呪霊だった。
一人じゃ倒せないと悟った私は、逃げるに徹したけど。
やっぱり無理で、ボロボロにされてしまう。
次、食らったら死ぬだろうな…
朦朧とする意識の中で、影灯篭のように憂太を想う。
「……キス……しておいて…良かったな…」
皆。
憂太。
今までありがとう。
「名前っ!大丈夫か!?」
「名前ちゃんっ!今、治すから!」
ぼんやりと聞こえる真希ちゃんと憂太の声。
私。
夢みてるの?
「…ゆう…た……」
最後に声が聞けて良かった。
冬のように寒くて堪らない。
私は眠るように目を閉じた。