第8章 乙骨憂太くんに愛されたい①
「憂太ぁ…」
「何?そんなにくっつかなくても聞こえてるよ」
憂太に色仕掛けは通用しない。
それは憂太が鈍いのもあるけど、リカちゃんが大好きだから。
それでも私は憂太が大好きで。
憂太の弱さ、強さ、呪うほど愛を貫くところに惹かれた。
そんな風に憂太に愛されたいし。
愛したい。
「憂太はさ、自分の好きな人に好きな人がいたら…どうする?」
「うーん…僕には分かんないなぁ」
お花が咲いたように笑う顔が可愛くて、思わず抱きしめてしまう。
「名前ちゃん?どうしたの?」
「何でもない。憂太が大好きだから抱きしめてるだけ」
「そっか。僕も名前ちゃん好きだよ」
憂太が言う好きは友愛だよね。
私は違うんだよ。
憂太を独占して、私以外見ないで欲しいんだよ。
「ねえ?憂太?」
「うん?」
振り向きざまに憂太にキスをする。
こんな事されても迷惑なだけだって分かってる。
それでもキスせずにはいられなかった。
例え今の均衡を崩したとしても。
憂太が好きだから。