第7章 両面宿儺に愛されたい
深夜0時になった時だった。
突然『契闊』と意味不明な言葉を発する悠二くん。
眠るように俯いてしまう。
「えっ?どうしたの?」
顔を覗きこむと、顔に痣が出ていた。
「まさか宿儺さん?」
「そうだ」
さっき悠二くんから聞いていた通りだ。
まるで別人。
ふにゃりと笑う彼とは違い、妖艶な雰囲気を纏う。
「お前は俺を恐れないのか?」
「うーん…怖くはないです」
なんか大人の男の人と話してるって感じなだけ。
「ではこれでどうだ?領域展開“伏魔御廚子”」
「えっ?」
今まで家にいたのに。
気づけば、全く知らない不気味な建物の中にいた。
「どこ?ここ」
「俺の領域だ」
「領域?」
「つまらん話はいい。それより久しぶりに女を抱きたい。名前、脱げ」
「はっ?」
今、何と?
脱げ?
抱く?
何言っちゃってんの?
「そんなことできるわけないよ」
「ほう。俺にそのような口を利くとは」
くつくつと笑う宿儺さんに恐怖を覚えた。