第7章 両面宿儺に愛されたい
暫く休んでいると吐き気は治まった。
辺りは薄ら暗くなってきて、ここは気味が悪い。
小さい頃から幽霊が出ると噂の神社だ。
「うん。やっぱいるね」
「何が?」
「呪い」
「えっ?」
彼の言葉にフリーズする。
「えっと…じゃあ…私…」
「うん。早めに帰った方が良いよ」
「…分かった…」
チキンハートの私には耐えられない。
「あ、待って」
「何?」
「番号教えてよ」
「ああ」
呪いには立ち向かえないけど、彼と連絡をとるくらいなら出来る。
番号を交換し、私は家に帰った。
「はあ…」
今日のことは一体何だったんだろう?
お風呂に入りながら考える。
しかも今日に限ってお母さんいないし。
私の家は母子家庭だから、頼れるのは母だけだ。
お風呂からあがるとスマホが光っている。
誰だろう?
『虎杖悠二』という名前を見て、“ドクンッ”と胸が早鐘を打った。