第7章 両面宿儺に愛されたい
「つーかさ、行き成りで悪いんだけど、ここに行きたいんだ。案内してくんない?」
「えっ?」
彼のスマホに映っていたのは家の近くの神社だった。
「そこ…私の帰り道に…あるよ」
「マジ?」
「…うん…」
精一杯の勇気を振り絞って彼と話す。
「じゃあ、このチャリで一緒に行こうぜ。俺が漕ぐからさ」
「…うん…」
怖さが勝って彼のいいなりになってしまう。
私は自転車の荷台に跨った。
「うわぁっ!」
猛スピードで走る自転車。
何これ!?
ジェットコースター!?
目が回る。
「で、どっち?」
「あと4つ先っ!左っ!」
「オッケー!」
加速するスピードに耐えられず、彼の腰にしがみついていた。
アクション映画のようにキキ―ッとブレーキをかけられる。
「あった!」
「………気持ち悪い…」
「えっ?マジ?吐きそう?」
「………大丈夫…」
本当は吐きそうだけど、我慢した。