第6章 三ツ谷隆くんに愛されたい②
side.三ツ谷隆
名前は呆然としている。
酩酊状態だったし。
この様子じゃ飲んでねぇんだろうな。
「お前、今日、早退しろ」
「………」
「名前?おい!名前?」
「えっ?あっ、うん」
「早退しろ。俺も付き添うから」
「えっ?…何処に?」
「だから産婦人科」
「えっ?あっ、ああ。そう…ですね…」
しっかりしろよ。
名前の顎をクイッと上げて、キスをする。
「16時にロビーで待ち合わせな」
「えっ?…何で…キス…」
「ぼんやりしてるお前が悪い」
「なっ!」
「じゃあな」
憤る名前と別れて、俺は仕事に戻った。
「おめでとうございます。ご懐妊ですね」
「へっ?」
「マジか…」
産婦人科で腹部エコーを見る。
「1cmもない大きさですが、ほらここに」
先生がプリントしてくれた写真を見ると、確かに白い影が写っている。
俺たちは会ったばっかだし。
正直言うと戸惑ってる。
それでも責任は取りたい。