第6章 三ツ谷隆くんに愛されたい②
side.三ツ谷隆
また逃げられた。
処女のくせにヤリ逃げした女。
まさかこんな所で会うなんて。
会議中も名前の事が気になって仕方がなかった。
ちゃんと話してぇのになぁ…
そんな俺の願いはすぐに叶うことになる。
「失礼します。頼まれた追加分。持って来ました」
「ああ。苗字くん、ありがとう」
「また追加がございましたらご連絡下さい。失礼します」
この企画の責任者に名前が会いに来た。
俺には気づいてない。
普通に笑ってりゃ可愛いのに。
何で俺から逃げんだよ。
気づけばマジマジと彼女を観察していた。
名前が帰ったのを確認して、企画部長に声をかける。
「斉藤さん。今の子ってどこに行けば会えますか?」
「苗字くんがどうかしましたか?」
「あー。彼女に頼みたい事があって…」
「庶務ですよ。1階に部署があるので、そこに行けば会えますよ」
「そうですか」
漸く名前の情報を掴んだ。
1階の庶務ね。