第5章 三ツ谷隆くんに愛されたい①
「ほら。一人じゃ歩けないでしょ?」
「何…で…」
足元から崩れおちるような感覚が襲う。
嫌だ。
こんな奴に触られたくない。
男を突き飛ばそうした瞬間だった。
「おい。お前、この子に何か盛っただろ?」
「はあ?何だよ。誰だ?お前」
何か喧嘩が勃発しそうな雰囲気。
誰かが私を助けてくれようとしている。
「店長。俺はここのオーナーの知り合いなんだけど、呼んできてくれる?」
「ココさんのお知り合いなんですか?」
「そう。中学からの知り合い。ココにこの店のこと聞きてぇから呼べよ」
「申し訳ございませんでした。このようなことは金輪際致しませんので、オーナーには…」
土下座をする店長を見て、彼は溜息を吐いた。
「二度とこんなことすんなよ?」
「もう二度と致しません。申し訳ございませんでした」
「謝るのは俺じゃねえだろ」
「はいっ!お客様、大変申し訳ございませんでした」
呆然と事の成り行きを見てので。
急に話を振られて、戸惑ってしまう。