第3章 ある時の八番隊
お茶を用意し、氷室さんが持ってきて下さったお土産の箱を開けると、中には鳥の雛を象られた可愛らしいお菓子が入っていた。お饅頭らしい。見たことないので現世のお菓子だと思われる。
持ってきた小皿に取り分け配る。具象化した斬魄刀の存在が気になったが、どうしようか考えていると「これの分はいらない。もう食べてきた」と白い仔犬を撫でながら言う。
それならと京楽隊長と氷室さんと私はお茶を飲みながら可愛らしいお饅頭を食べる。
最近は現世任務へ行っていたらしい。話しを聞くと、現世では大きな大会があったらしく、髪の色、目の色、肌の色が様々な人が集まり競技を競っていたとか。
そろそろ戻るとなった時、隊長はとある冊子を氷室さんへ渡した。それは近々出版予定の自身の写真集。
一枚一枚と見ていくうちに氷室さんの顔がなんとも言えない表情になっていく。
「良い出来映えでしょ?」と自慢気に語る京楽隊長。
一通り見終わり冊子を閉じると目に見えない速さで京楽隊長へ投げつける。顔で受け止めた隊長は後ろへ倒れた。心配するべきだが今回は氷室さんへ同情する。
氷室さんはお土産の箱とは違う箱を取り出し私に差し出す。
「よかったらコレを」と言い「失礼する」と部屋を出て行こうとする。
「水月ちゃん、誰でもいいから後で傷見てもらうんだよ」
そう言う京楽隊長に私は目を丸くする。怪我をしているようには見えないのに。そのまま帰る氷室さん表情は私の位置からは見えなかった。
「七緒ちゃん、後でもいいから、四番隊に連絡しておいてくれる?できれば卯ノ花隊長に」
起き上がりながら言う京楽隊長の顔は先程の氷室さんとは別の意味でなんとも言えない表情だった。
渡された箱を見ると現世のお店の羊羹だった。京楽隊長曰く現世の老舗の物だとか。
「なぜ私に?」と思いながらお茶道具を片付けながら、いつ四番隊への連絡するかを考えていた。