第5章 傷
白雉を枕元に置き、申し訳ないと思いながら傷の確認をしたがどこも問題はなかった。
もっと周りを頼ればいいのにな。
あの性格と死神になるまでの状況故に周囲と壁を作ってしまう水月。出会った頃は口すら聞いてくれなかった。入隊してからも単独行動が目立ったが、俺や京楽が隊長になると更に磨きがかかったように見える。少しでも見える範囲にと思って総隊長の元柳斎先生に願い出た上で隊長補佐に任命した。
だが、怪我等は隠そうとする。俺や京楽、はたまた隊全体に迷惑が掛かると思っているのだろう。そんなこと無いのにな。
現に、お見舞いへ行こうとする隊員、失踪したから自ら捜そうとする隊員、布団等を準備するのに早々に動いてくれた隊員。
周りは気に掛けてくれているんだ。中には弊害と思っている者もいるが…。
今度、無理やりにでも交流会をするか。
そんなことを思いながら頭を撫でてやるが反応はない。暫くこの部屋へ人を近づけないよう海燕にお願いし、卯ノ花隊長へ連絡し、四番隊に残されている白狼を取りに行ってもらうよう隊員を動かした。
水月が目覚めたのは、それから数日後だった。