第1章 事件1.新米刑事恋を知る
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「で?その男に濡れて透けた下着を見られたのが次の事件だって?」
「ち、違います!」
カナの話にのめり込んでいた佐藤だが、ありきたりな展開に先を予想してニヤリと言った
その横で高木は頬を赤くして苦笑いをしている
「美和子さん、高木君が変な想像してます!浮気です!」
「ちちちち違いますよ佐藤さんっ!誤解です!!」
「ちょっと黙ってて高木君」
「ハイ…」
全力で否定する高木に佐藤はそれどころではないと撃沈させてしまった
「じゃあ何が事件だったのよ?」
「確かにシャツが濡れて下着が透けてたんですけど、その時は全然気付かなくて…」
でしょうね、と日頃のカナの自分の事には鈍感な様子からため息混じりで佐藤は頬杖をつく
「その人が一緒に救助してくれたのも正義感が強いからなんだなーって思ったし、悪意があって誘ってくれたんじゃないってわかってたし、私も濡れて帰り道どうしよってなってたし、レスキュー隊員に刑事なのバレたら面倒だから会いたくなかったし…」
モジモジと独り言の様にぶつぶつ呟くカナに、佐藤は次第に眉間にシワを寄せた
「もう!ハッキリ言いなさい!」
「その人の家でシャワー浴びちゃいましたっ!!!」
佐藤の迫力にカナは早口で答えた
顔を両手で覆っているが、間からは真っ赤になった様子が見え、頭からも湯気が出ている
「高木君時間取って。星宮カナ、恋愛鈍感罪で現行犯逮捕する」
「恋愛鈍感罪ってなんですかソレ嫌です~!!」
ひーんと泣くカナの片手首には佐藤によって手錠が嵌められそうになっていて、高木も高木で素直に時計を確認する
「それで!?カナの弱みにつけ込んで家に連れ込んだソイツに何されたの!?」
「べ、別に弱みにはつけ込まれてません!でも色々してくれましたけど…」
「「ハァァァ!?」」
カナに迫る勢いで驚く2人に再び背中が仰け反る
「シャワー浴びるまでは全然気づかなかったんです…。でも冷静に考えたら、私初対面の男の人の家で裸になってるって思って、でもその人すごく優しくて…」
「シャワー浴びるまで気付かないって、男所帯の職場に慣れすぎでしょ…」
「カナ、その言い方は誤解が生まれるから他で話しちゃダメよ」
事情聴取はまだまだ続くのであった