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これが恋ですか?【DC/風見裕也】

第1章 事件1.新米刑事恋を知る


「えらい!じゃあ今からお姉さんとラッコさんになりまーす!」
「ラッコさん…?」

しゅんとしながらも男の子は興味を持ってくれたようで、これならパニックにならず男の子を運べそうだ
飛田がカナの肩を支え、カナは背浮きの体勢になり男の子を仰向けにお腹の上に寝かせる

「行けますか?」
「はい!ラッコさん出発しまーす!」

カナの合図に飛田はカナと片腕を組むようにし、反対の手で水を掻き分け泳ぎ出す
カナも男の子の顔に水がかからないようできる限り背浮きし、バタ足で水を押し飛田が進みやすいようにした

波は荒いが1人で泳ぐよりもだいぶ泳ぎやすい
時折男の子の顔や耳に水しぶきが当たり身体が強ばるとカナ自身が沈みそうになるが、それを飛田が腕に感じ引き上げたりしながら進んだ
川の流れに身を乗せながら、カナが始めに飛び込んだ場所から10m以上も下流の岸に2人は辿り着く

「ラッコさん到着~!」

先に川底に足が着いた飛田はカナを支えた
カナも足が着いたのを確認し、仰向けになった男の子を抱き上げる

「飛田さん、男の子を!」

先に川から出た飛田に男の子を抱き上げて渡す
そこに母親も駆けつけ、飛田から引き渡された濡れた男の子を力の限り抱きしめながら泣き崩れた

「ボク頑張ったね!」

息を整えながらカナは母親と男の子の元に近寄った
あの状況であったが男の子は元気そうだし、視診した限りでは大丈夫そうだ

「お母さん、息子さんは元気そうですが、川の水を少なからず飲んでしまっているかと思います。レスキューももう着きますので、専門の方によく診てもらって下さいね」

ありがとうございますと何度も何度も頭を下げる母親と、駆け付けていた周りの人達の拍手になんだか照れくさくなった
レスキューのサイレンも近付いてきたのでこれでもう安心だ


これで一件落着だと思ったのだが、この町はやはり事件が起きてしまう運命らしい…


「星宮さん、自分ので申し訳ないのですが、コレ羽織ってください…」


駆けつけた人の中にはカナと飛田の脱ぎ捨てた服や鞄を運んできてくれた人がいて、それを受け取った飛田が真っ先にカナにジャージの上着を肩に掛けてくれた

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