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これが恋ですか?【DC/風見裕也】

第3章 事件3.刑事2人恋の始まり



電車通勤のカナは今、風見の運転するスカイラインの助手席に座り、緊張のあまり通勤カバンをギュッと抱き締めて前を向いている
風見に仕事の話がしたいと言われ、てっきり別々に登庁し指定の時間に話し合いをするのかと思ったが、できれば登庁後すぐに話がしたいとの事で風見宅から同行することになってしまったのだ

「(予定通りならこの時間はとっくに飛田さんのことを忘れて一人電車に乗ってる筈だったのに…なんで一緒に出勤する事になってるのぉ…)」

嫌な訳ではないが、もう二度と乗らないと思っていた車の助手席は前回よりも居心地が悪く、とにかく早く庁舎に着いて欲しいと願うばかりだった

そんなカナの隣りで運転をする風見もまた、緊張のあまりハンドルを握る手に力が入っていた
同じ場所に出勤をするのにわざわざ別れて登庁しなくても良いのではないかと自分の車に乗せたが、庁舎に着くまでの事までは考えられなかった
カナを呼び出し話を付ける為の段取りを通勤時間の間に考えようとしていた予定は早々に変更となり、目的の人物はもう既に隣りにいる

「(庁舎までの数十分…沈黙のまま向かうのは気まずすぎるが、一体何を話せば…)」

同僚の女性を隣りに乗せたことだって今まで何度もあった
その時の会話を思い出そうとするが、所詮は仕事中の事、仕事に関連した話しかしたことがない
例の案件については登庁後に落ち着いて話がしたい為今出す話題ではなく、何か他愛のない話でもと思うが、カナを突き放す様な事を言ってしまったが為に気軽に口から出てこなくなってしまっていた

しかもいつもなら信号に殆ど止まらず行けるところ、今日に限って赤信号ばかりである
朝食もコンビニに寄って車内で食べながら登庁しようとしたがカナを隣りに食べるのは失礼だなと諦め、部署内の机にストックしてあるチョコで糖分だけは摂取しておこうと考えたところでふと思った

「…星宮さん朝食は食べましたか?」

普通に会話が出てきたぞ、と心の中でガッツポーズをした風見
もし朝食を食べていないのであればコンビニに寄ろうと思ったが、

「は、はいっ!食べました…!」

肩をビクッと跳ねさせながら返ってきた返事に「そうですよね…」と苦笑いを浮かべた

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