第2章 事件2.刑事2人恋に迷う
「星宮さんには明日にでも早急に極秘で捜査協力を要請をしてくれ。君とペアを組んでもらい、彼女のコネを使ってパーティー会場へと潜入できるよう話をつけて欲しい」
「自分と星宮刑事でペアですか!?」
何か問題でもあるのかと言われ、問題しかないと思う風見であった
自分から突き放した星宮刑事に夜が明けたら一緒に捜査をするよう要請を出すだなんて
あの涙を思い出したら今更どの顔で会えば良いのかと戸惑う
「まさか私情でそれはできないとでも言うつもりか?」
「いえ!そういうつもりではないんですけど…一体どうやってコネを使わせてもらえば良いのか…。そもそも星宮刑事はなぜこのパーティーに…?」
「それを含めて話をつけてくるんだ。それにパーティーへ同席させてもらう理由作りなど簡単だろ?婚約者とでも言って同席させてもらえるようなんとか手配してもらえばいい」
「こ、婚約者!?そんな無茶な!!」
捜査の為にカップルに扮したことはあるが、今回はペアになる相手が悪すぎる
星宮刑事と婚約者に扮するだなんて…と、風見の脳内にウェディングドレス姿のカナが出てきて、頭を振って妄想を打ち消した
「せめて、友人とかではダメですかね…」
「男の友人を連れて行くというよりも婚約者を連れて行くと言った方が主催だって受け入れやすいと思わんか?」
「それはそうですが…自分は星宮刑事を落ち込ませる様な事を言ってしまったばかりで、多分嫌われています…。捜査協力をしてもらえるかどうか…」
しょぼんと小さくなる風見に降谷は立ち上がって言う
「風見、君は何年公安をやっているんだ?これは仕事で、命令だ」
「も、申し訳ありませんっ…!」
ハッとした風見も立ち上がり、90度に腰を曲げる
「…ぬかるなよ、風見」
パソコンを閉じデータの入ったUSBだけを置いて降谷は出入口へと向かう
そしてドアを開けたところで風見に振り返る
「まぁ…君も色恋沙汰には悩む奴だと分かって安心したよ。それと、星宮さんは君の事を嫌っていないと思うぞ」
バタンと閉じたドアの音の後に風見はストンと椅子に座った
そしてそのまま机に項垂れて今日一番の溜め息をつく
「色恋沙汰って…自分まだ何も言ってないのに…」
今日一日の疲れがどっと押し寄せてきた気がした