第37章 キミと一緒にいたいから
-- その後再び訪れた穏やかな日々。
図書館で、少し話をした後。遠慮するマミを説き伏せて、自宅マンションにまで送って来た拓眞に。
「私、拓眞くんとお話したかったの! 上がって行って? お茶でもいかが?」
と、テンションの上がったナミにまで、押しきられたマミ。
拓眞も。
「本当ですか? じゃあ、遠慮なく」
なんて答えてるし。
「私からの『色々頑張ったね』のプレゼント。マミの好きなビーフシチューを作ったの。出塚くんも一緒に食べましょ」
結果。三人で、ビーフシチューに、ローストチキンに、ロールパン、サラダの夕飯を。
「凄い、美味しい!」
と、拓眞は喜んでくれて。
食後に紅茶を頂いた後。
拓眞とマミは。リビングにて話をしていた。
ちなみに。ナミは友達からの電話に。自室向かったきり、長電話をしているらしく、一向に戻って来る気配がない。
「なんか、色々すみません。拓眞さん」
「なんで、謝るの? キミって子は……遠慮しいで……」
「 自己評価低いのか?」
「うん」
「それを言ったら、拓眞さんも『図書館を引き継いだから、融通がきくから……』って話された時、一瞬苦しそうな顔されたじゃないですか」
「鋭いな。マメちゃん。司書の仕事を選んだのは本当に夢でさ。別にね『世襲制』じゃないんだから、祖父から父へと館長が変わった『場所を継げ』なんて一言もね、言ってないの。二人とも。でも俺は、子供の頃から慣れ親しんで来たその場所が大好きで。自然とそこを選んでた。もちろん、司書の資格を取るための学校にきちんと行ってね」
「はい」
いったん言葉を切った拓眞に、 マミは頷いて。
「祖父と父が作り上げた図書館だから。自分は自由にして良い。だなんて勘違いしないように。って。あの日。スーパーで出逢った日は、ホントたまたま休みになっただけだし。けどね……マメちゃんと紙芝居を一緒にする事になって。日程だって調整している内に、やっぱりたまたま火曜日になって……マメちゃんと一緒にいたいから。 休館にしようって……」
「……なんで、私に……拓眞さんは『頑張り屋さん』って、言って下さるの?」
( なんで涙出ちゃうの?)