第34章 母の、ぎゆっ。
ハァ、ハァ……
どんどん吹雪が強くなる中。
拓眞は必死に走っていた。
( 早く! 早く!)
マミの元へ…… 早く行ってあげたかった。
「いた……」
ナミに 教えられた。父と母と娘の。思い出の公園。
雪の中。 ポツンと ブランコに座り、 薄暗い空見上げ ているマミがいた。
「マメちゃん」
その言葉に、マミは…… 反応することはなくて。
拓眞は、マミがビックリしないよう、 ゆっくりと静かに近づいて目の前にしゃがんで。
雪風にかき消されないように少し大きな声で。 しっかりとマミを見つめ。
もう一度。
「マメちゃん」
声をかけると。
ビックリしすぎたのか、 声も出ないのか。 拓眞をマミはジッと、 見つめ返してきて。
「マメちゃん、 もう心配いらないよ」
瞬間何を言われているのか 。
(糸さんの家でのこと……?)
思い当たったマミ。 -