第30章 みんな、誰かのために……偉いな
「プロジェクターは、だいぶね、普及されたから。皆も一番知ってるかな? 紙芝居の絵を映し出してみました。アクリル板に政治家さんたちのために、字を写したりしてるの見た事ある? 子供たちの側に、字を浮かび上がらせてみました。コロナの感染予防に立てた板。を逆手にとって」
と。朔弥。
耳の聞こえない子。聞こえずらい子。車椅子の子。図書館に通う子。町の子たちのために。
「さすがだな」
と。拓眞。
「目が見えにくい子たちにも、少しでも見えるように。絵の色をしっかり塗るよう心がけました。お話の世界観からしたらさ。淡い色合いの絵が良かったんでしょうけど」
目の見えずらい子たちのために……
愛朱実も続いて。
「いいの。子供たちみんなが喜んでくれたら、それで」
マミは微笑んで。
「基本黒色の、文の中に。ヴィントは青色。ルーナは黄色。 ベルクは赤色。ブーリャは緑色。デイジーは桃色。 三兄弟パパは紫色 。デイジーパパは藍色。三兄弟ママは|橙色《ダイダイいろ》。 デイジーママは|赤橙色《あかダイダイいろ》。セリフの文字を変えたのがさ。|秀逸《しゅういつ》だよな」
耳の不自由な子たちのために……
拓眞が唸り。
「凄い開発ね」
愛朱実が素直に感心している。
「子供たち、一人一人に渡したイヤモニ型の声の変換機で、登場人物の声も変えたんですものね」
耳の聞こえずらい。それから、目の不自由な子たちのために……
マミも感嘆している。
それらは、もちろん、車椅子の子も。図書館に通うの子も。街の子たちも。 より一層楽しんでもらうためのモノで
「拓眞に。紙芝居を楽しんでもらいたい子供たちの様子を聞いてさ。 必要なモノをみんな揃えてあげたい。って思ってさ」
「やっぱり、中庭くんは『ビックリさせたいモノ』を考えたんじゃなくて『人を助けるためのモノ』を作ったのよ」
愛朱実が、そう言うと。