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ぎゅっ。

第26章  こどもたちの困っていること。大事なモノ。



今回、この会を開催するのにあたって。

『私たち病院スタッフは、 自分たちの言葉で、意見や感想を言えるように 、見守るスタンスでいますね』

 そう言った、◎◎病院の小林《こばやし》院長。

「隼士《しゅんじ》くん、 聞いてもいいかな? さっきの"キーン" って。音。補聴器をつけていると、たまに、なってしまうのかな?」

「うん。キライな音がするとね、大きくきこえるの」

「嫌い……苦手な音? 虫のブーンって音とか……かな?」


「黒板の"ギー"って音もキライ……」


「嫌いな音が、大きく聞こえるなんて……イヤだね」

「うん。たくまくんは?」


 拓眞を初め、誰かしら。苦手であったり、嫌いな音はあって。それがかえって強調されて聞こえたりするのは……

「俺も、虫のブーンは嫌いだな。一緒だね。隼士くん」


「 でもね。ボクをを助けてくれる、だいじなのボクの耳なんだよ」

 一瞬、心がぎゆっ。ってなりそうになった、拓眞だったけど。


 誇らしげに。そう、隼士くんが笑って。


「そうなんだね。未來《みく》ちゃんは、困っていることとか、大事なモノはありますか?」

「みくね。たすけてマークと、マホウのつえもってるよ」

「魔法の杖は、未來ちゃんを助けてくれる大切なモノなんだね」

 目がほとんど見えないという未來ちゃんは、|白杖《はくじょう》を見せてくれて。



 -ガラリ-  

その時、体調が戻ったのか。が マミが、あそびの へや へ戻って来て。


甘えるように、ナミの右腕に左腕を、ぎゅっ。て、絡ませているマミは、安心した表情と分かる。透明マスクごしに微笑んでいて。

拓眞は。ホっとして。  良かった。というように頷いて見せると。マミも頷き返してくれて。  

部屋の後ろの方に、 一緒に戻ってきた愛朱実と共に、3人が椅子に座るのを見届けると。

「みちにある、きいろいご本知ってる?」

 そう質問した未來ちゃん。

「この、点字ブロックかな?」

 拓眞が聞くと。

 用意していた、黄色い点字ブロックの写真を補助してくれていた、朔弥が、プロジェクターに写し出してくれて……




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